切れ痔(裂肛)とは?

切れ痔は医学的には「裂肛(れっこう)」と呼ばれ、肛門の粘膜や皮膚に亀裂や傷ができた状態です。硬い便が排出される際や、強くいきんだときなどに肛門が傷つくことで発症します。
特徴的な症状は排便時の強い痛みです。傷ついた部分を便が通過するたびに鋭い痛みを感じ、その痛みから排便を我慢することで便秘が悪化し、さらに症状を悪化させるという悪循環に陥りやすい疾患です。
切れ痔は痛みを伴うため日常生活に大きな支障を来すことがありますが、適切な治療と生活習慣の改善で症状の緩和や治癒が期待できます。
切れ痔の原因
切れ痔の主な原因は以下の通りです。複数の要因が重なって発症することも多いです。
日常生活に関連する原因
- 便秘(特に水分や食物繊維不足による硬い便)
- 下痢(頻繁な排便による刺激と消化液による炎症)
- 排便時の強いいきみ
- トイレでの長時間の読書やスマートフォン使用
- 便意を我慢する習慣
- 辛い食べ物やアルコールの過剰摂取
- 不適切な肛門の清拭(強くこすりすぎるなど) など
身体的要因
- 出産(肛門周囲への強い圧力)
- ストレス
- 肛門周囲の感染症や炎症
- 過度の肛門括約筋の緊張 など
これらの要因により肛門の粘膜や皮膚に亀裂が生じ、切れ痔を引き起こします。特に便秘と下痢の繰り返しは、肛門に大きな負担をかけ、発症リスクを高めます。
切れ痔の症状
切れ痔の主な症状は以下の通りです。これらの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
主な症状
- 排便時の鋭い痛み(最も特徴的な症状)
- 排便後も続く痛み(数分から数時間、時には数日間)
- 便やトイレットペーパーへの鮮血の付着
- 肛門周囲の灼熱感やかゆみ
- 座るとお尻が痛む など
慢性化した場合の症状
- 肛門括約筋の過緊張
- 排便困難の悪化
- 肛門狭窄(肛門が狭くなる状態)
- 痛みによる悪循環(痛み→排便我慢→便秘→硬便→さらなる痛み) など
切れ痔の検査・診断
当院では、以下のような検査を通じて切れ痔の診断を行います。
問診
いつから症状があるか、どのような痛みか、排便習慣や食生活についても詳しくお聞きします。症状の程度や期間は治療方針を決める重要な情報となります。
視診・触診
肛門を観察して、亀裂の有無や位置、深さ、炎症の程度などを確認します。
切れ痔の治療
切れ痔の治療は、症状の程度や経過によって異なります。当院では、患者様の状態に合わせた治療方法をご提案します。
保存的治療
軽度から中等度の切れ痔では、以下のような保存的治療を行います。
薬物療法
- 軟膏や坐薬:炎症や痛みを抑える局所治療薬を処方します
- 内服薬:便を柔らかくする薬や、肛門括約筋の緊張を緩和する薬を処方することがあります など
生活習慣の改善
- 食事指導:食物繊維の摂取増加、水分摂取の重要性などについてアドバイスします
- 排便習慣の改善:規則的な排便習慣の確立、強いいきみを避けるなどの指導を行います など
保存的治療で改善が見られない場合や、慢性化した切れ痔の場合は、より専門的な治療が必要となることがあります。そのような場合は、適切な専門機関をご紹介いたします。