やけど(熱傷)とは?

やけど(熱傷)とは、熱や化学物質、電気などによって皮膚や粘膜が損傷を受けた状態です。家庭内でも起こりやすく、特に小さなお子様からご高齢の方まで注意が必要です。
日常生活では以下のような原因でやけどを負うことが多いです。
- 熱湯や蒸気(やかん、鍋、電気ケトルなど)
- 熱い食べ物や飲み物(味噌汁、コーヒーなど)
- 調理器具(フライパン、オーブンなど)
- 暖房器具(ストーブ、アイロン、こたつなど)
- 化学物質(洗剤、漂白剤など)
- 日焼け(特に長時間の紫外線曝露) など
やけどは深さによって分類され、症状や治療方法が異なります。当院では主に軽度から中等度のやけどを診療しています。重度のやけどの場合は、適切な専門機関をご紹介します。
やけどの深さと症状
やけどは深さによってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。それぞれの特徴と症状は以下の通りです。
Ⅰ度やけど(表皮のみの浅いやけど)
- 皮膚が赤くなる(発赤)
- ヒリヒリとした痛みがある
- 軽い腫れがある
- 水ぶくれ(水疱)はできない
- 数日程度で治癒することが多い など
日焼けや熱い飲み物がわずかに皮膚に触れた場合などに見られます。
Ⅱ度やけど(表皮と真皮の一部にまで及ぶやけど)
- 強い痛みがある
- 水ぶくれ(水疱)ができる
- 皮膚が赤く、湿っている
- 触ると痛みを感じる
- 治癒には1~3週間程度かかることが多い など
熱湯を浴びたり、熱い油が飛んだりした場合などに見られます。
Ⅲ度やけど(真皮全層から皮下組織にまで及ぶ深いやけど)
- 皮膚が白っぽい、茶色や黒色になる
- 皮膚が乾燥して硬い
- 触っても痛みを感じないことがある(神経が損傷しているため)
- 治癒には時間がかかり、植皮手術が必要なこともある など
火災や高温の物体に長時間接触した場合などに見られます。重症のやけどで、専門的な治療が必要です。
やけどの応急処置
やけどを負った場合、適切な応急処置が症状の悪化を防ぎ、治癒を促進します。以下の手順を参考にしてください。
すぐに行うべきこと
冷やす
やけどした部分を、すぐに冷たい流水で10~15分間冷やします。水道水で十分です。
衣服の処理
やけどした部位に衣服が付着している場合は、無理に引き剥がさず、周囲を切るなどして衣服を取り除きます。
アクセサリーの除去
やけどした部位や近くにある指輪、時計、ブレスレットなどは、むくみが出る前に外しておきます。
保護
清潔なガーゼやタオルで軽く覆い、汚染や刺激から保護します。
受診するべき状況
- 広範囲(手のひらサイズ以上)のやけど
- 顔、手、足、関節部、陰部のやけど
- 水ぶくれが大きい、または複数ある
- 皮膚が白っぽい、茶色や黒色になっている
- 強い痛みがある、または全く痛みを感じない
- お子様やご高齢の方のやけど
- 化学物質や電気によるやけど など
当院でのやけど治療
神戸市北区の藤原台にしむらクリニックでは、主に軽度から中等度のやけど(Ⅰ度やⅡ度の一部)の診療を行っています。診療内容は以下の通りです。
診察と評価
やけどの深さ、範囲、部位などを慎重に評価し、適切な治療方法を選択します。
処置
- 洗浄:やけどした部位を丁寧に洗浄し、汚れや異物を取り除きます
- 消毒:必要に応じて消毒を行い、感染を予防します
- 水疱の処置:大きな水疱は、感染予防のため医師の判断で穿刺することがあります
- 軟膏塗布:抗菌作用や保湿作用のある軟膏を塗布します
- 包帯・ガーゼ処置:清潔なガーゼや包帯で保護します など
薬物療法
症状に応じて以下のような薬を処方することがあります。
- 消炎鎮痛剤:痛みや炎症を抑えるお薬
- 抗生物質:感染予防や治療のためのお薬
- 抗ヒスタミン剤:かゆみを抑えるお薬 など
経過観察とフォローアップ
やけどの治癒状況を確認するため、必要に応じて再診をお願いすることがあります。治療期間中の注意点や生活上のアドバイスもご提供します。