高血圧症とは?

高血圧症とは、血管内の圧力(血圧)が慢性的に高い状態が続く病気です。血圧は心臓が収縮する時に最も高くなり(収縮期血圧・上の血圧)、拡張する時に最も低くなります(拡張期血圧・下の血圧)。
正常な血圧は、収縮期血圧が120mmHg未満、拡張期血圧が80mmHg未満とされています。血圧が継続的に基準値を超える場合に高血圧症と診断されます。血圧が高い状態が続くと、血管や心臓に負担がかかり、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。
高血圧症の原因
高血圧症の原因は様々ですが、主に以下のような要因が関わっています。
- 塩分の過剰摂取
- 肥満
- 運動不足
- ストレス
- アルコールの過剰摂取
- 喫煙
- 加齢
- 遺伝的要因 など
これらの要因が単独で、あるいは複合的に作用して高血圧症を引き起こします。特に塩分の過剰摂取は日本人に多く見られる原因の1つとされています。
高血圧症の症状
高血圧症は、初期段階ではほとんど自覚症状がないことが特徴です。しかし、血圧が非常に高い場合や長期間高血圧状態が続いた場合には、次のような症状が現れることがあります。
- 頭痛(特に後頭部)
- めまいや立ちくらみ
- 動悸
- 息切れ
- 肩こりや首の張り
- 全身の倦怠感
- 目のかすみ
- 鼻血 など
これらの症状がある場合は、高血圧症の可能性がありますので、早めに受診されることをおすすめします。
高血圧症の種類
本態性高血圧
明確な原因が特定できない高血圧症で、高血圧患者の約90%がこのタイプとされています。遺伝的要因と環境要因(食生活、運動不足、ストレスなど)が複雑に絡み合って発症します。
二次性高血圧
他の疾患が原因で引き起こされる高血圧症です。主な原因疾患として以下のようなものがあります。
- 腎臓の病気(慢性腎臓病、腎動脈狭窄症など)
- 内分泌系の病気(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 大動脈縮窄症 など
また、妊娠高血圧症候群や、ある種の薬剤(ステロイド薬、経口避妊薬など)の副作用として血圧が上昇することもあります。
高血圧症の合併症
高血圧症の怖さは、長期間の高血圧状態が様々な合併症を引き起こすことにあります。
心血管系合併症
脳卒中
高血圧が長く続くと脳の血管が傷つき、脳梗塞や脳出血などの脳卒中を引き起こすリスクが高まります。脳卒中は、突然の意識障害や麻痺などの深刻な後遺症を招くことがあります。
心疾患
高血圧症により心臓に負担がかかると、心肥大(心臓の筋肉が厚くなる状態)を引き起こし、さらに進行すると心不全や狭心症、心筋梗塞などのリスクが高まります。
動脈硬化症
血圧が高い状態が続くと血管壁が傷つき、動脈硬化が進行します。動脈硬化は全身の血管に影響し、様々な臓器の機能障害を引き起こす可能性があります。
その他の合併症
- 腎臓病(腎機能の低下、腎不全)
- 眼底出血(視力低下や失明のリスク)
- 大動脈瘤(大動脈の壁が弱くなり膨らむ状態) など
これらの合併症は、血圧をしっかりとコントロールすることで予防・進行を遅らせることが可能です。
高血圧症の診断
高血圧症の診断は、主に血圧測定によって行われます。
血圧測定
診察室での血圧測定が基本ですが、「白衣高血圧(診察室でのみ血圧が高くなる現象)」を考慮して、家庭での血圧測定も重要視されています。
診断基準(日本高血圧学会ガイドラインによる)
- 診察室血圧:収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上
- 家庭血圧:収縮期血圧135mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上
その他の検査
原因や合併症の評価のために、以下のような検査を行うことがあります。
- 血液検査(腎機能、電解質、血糖値、コレステロール値など)
- 尿検査
- 心電図検査
- 胸部レントゲン検査
- 血圧脈波検査 など
高血圧症の治療
高血圧症の治療は、「生活習慣の改善」と「薬物療法」が基本となります。神戸市北区の藤原台にしむらクリニックでは患者様の状態やライフスタイルに合わせて、無理のない治療プランをご提案いたします。
生活習慣の改善
日常生活での取り組みが、血圧コントロールに大きな効果をもたらします。
食事のポイント
- 減塩:1日の塩分摂取量を6g未満に
- カリウム、カルシウム、マグネシウムを含む食品を積極的に摂取
- アルコールは適量を心がける
- 野菜や果物を十分に摂る
- 適正体重の維持 など
運動のすすめ
- 有酸素運動(ウォーキング、サイクリング、水泳など)を定期的に
- 1回30分程度、週に3~5回を目安に
- 無理のない範囲で継続することが大切 など
その他の生活習慣の改善
- 禁煙
- ストレスの軽減
- 十分な睡眠
- 規則正しい生活 など
薬物療法
生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合や、合併症のリスクが高い場合には、薬物療法を併用します。
主な降圧薬
- カルシウム拮抗薬:血管を拡張させる
- ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬):血管の収縮を抑える
- ACE阻害薬:ARBと同様のメカニズムで作用
- 利尿薬:尿量を増やして血液量を減らす
- β遮断薬:心臓の働きを抑えて、血圧を下げる など
お薬は必ず医師の指示通りに服用し、自己判断で中止しないようにしましょう。